地域まるごといきいきブログ

連載企画「たかさんの独り言じゃけ」Vol.7 2020年2月13日

映画「パラサイト」を観て

国際援助団体オックスファムが世界の2,153人が持つ富が世界人口の6割にあたる46億人が持つ富よりも大きいと発表した。資本の「無限の蓄積衝動」(資本論)が生み出す途方もない格差に驚きよりも怒りを禁じえない。
 大資本家に「寄生」(パラサイト)する貧困家族の悲喜劇を描き、韓国の格差社会を告発した「パラサイト」がアカデミー賞作品賞を受賞した。「パラサイト」の副題は「半地下の家族」、大雨が降れば住居は水没する貧困家族だ。映画ではさらに地下で暮らす人も登場して、韓国社会の驚くべき格差社会を暗示している。そして、大資本家に「寄生」するための、貧者同士の足の引っ張り合いが悲劇を生む。何とも悲しく後味が悪い結末だ。しかし、その後味の悪さは韓国に留まらず、日本も含む多くの国の現状を反映しているからだろう。ハッピーエンドとはいかないのだ。しかし、足の引っ張り合いでなく、やはり連帯を求めたい。そのためには何が必要か、考えることをこの映画は示唆しているのではないだろうか。
広島民医連  斉藤孝司