地域まるごといきいきブログ

連載企画「たかさんの独り言じゃけ」Vol.6

『お帰り寅さん』

私が、「男はつらいよ」を初めて観たのは、45年ほど前の太地喜和子をマドンナに迎えた「寅次郎夕焼け小焼け」だった。笑いに古典落語の要素を取り入れつつ、お金よりも大切なものがあることを多くの人に気づかせてくれるシリーズのなかでも名作のひとつだ。

その「男はつらいよ」が帰ってきた。「お帰り寅さん」である。映画は主題歌を歌う桑田佳祐の「ひとり紅白歌合戦」を彷彿させる名調子で幕を開ける。甥・満男と初恋の人・泉との30年ぶりの再会を軸に二人の生き方に影響を与えた寅さんの思い出のシーンが綴られていく。最後は満男の表情とダブりながら、寅さん映画を飾ったマドンナたちが次々に映し出される、マドンナたちへのオマージュだ。さながら、映画のすばらしさを描いた「ニュー・シネマ・パラダイス」のラストシーンを想起させた。山田洋次監督の作品の作り方はみごと、必見の作品である。